A.i.R Project 青の軌跡 / A.i.R Project – Tracks of Blue

作品「青の軌跡」が小さくなって商品化されました。

「A.i.R. Project」とは (株式会社バンダイホームページより)

「A.i.R.」は「Art in the room」の略で、生活空間の中に空気のように自然に溶け込むアートをお届けしたい、という思いから名付けられました。
なぜおもちゃ会社がアートを作るのか?不思議に思われる方も多いかもしれません。
しかし、子供にとって玩具が心を豊かにしてくれるものであるように、大人にとってのアートは、心を広く豊かにしてくれるものであるはずです。心を豊かにしてくれるもの、という意味では、私達にとってアートとおもちゃは同じなのです。
アートは小難しいものではなく、もっと人の生活に近いものであっていいはずです。
部屋の中に常にアートがある生活。そんな価値をお届けするのが、A.i.R. Projectです。

商品詳細
A.i.R. Project – 青の軌跡

 

商品化に対する思い

量産としてのアートということで当初戸惑いがありましたが、もともと私自身が作品に対する思いを、より多くの方と共有、共感したいという気持ちが強く、作品を量産することにより多義に渡る方々にも作品を見てもらえる良い機会と捉え、共同制作をおこなうことに同意しました。また、バンダイ「A.i.R. Project」の、“面白いから、新規性があるから、といったような一過性のものとしては考えていない、企業としてアートを育てていきたい”という本気度に共感しました。
これまで、展覧会場で作品を展示していると、“手元に置きたい”“手元に置けるようなサイズは創れるのですか?”といったご意見を多くいただいていました。「A.i.R Project 青の軌跡」が、私から皆さまに対する一つのご回答となれば幸いです。

作品の小型化にあたって

2003年制作の“青の軌跡”をそのままダウンサイジングしたのでは、表現としてとても窮屈な見え方になってしまうことが想像できます。小さいサイズだからこそなし得る表現を追求し、オリジナルを超える、新しい作品としての位置付けを目指しました。
小型化するにあたり、いくつもの難関がありました。初期型では作品の肝である風がうまく流れず、滲みの現象があまり美しくないなど、自然の物理現象を扱う上で小型化は難航しました。実際開発には2年もの年月を要しました。結果、オリジナルを超える、品の高い作品になったかと思います。バンダイの熱意に感謝しています。

日常に置かれるオブジェとして

作品を創る上で、時間軸的表現をいつも大切にしています。今回、日常に置かれるオブジェという位置づけに対して、どのような動作が最も適しているのかバンダイ側と相当の議論を重ねました。スイッチを入れた時だけ動作させるのであればシステムはシンプルです。しかしそれでは日常に置かれるオブジェとしては成立しません。1日の流れの中で、たとえばスリープ中であっても、作品に手をかざすと表現面がじんわりと光り出し、光の軌跡が現れるなど、様々なシチュエーションに対して、より生活に溶け込むような工夫をこらしました。

作品の位置づけについて

現象そのものを扱ったメディアアートの商品は数少ないです。機能を持っている訳でもない、現象の表現のみのこの商品がどのように市場に受け入れられるのか、また量産品である本作品が、美術の位置付けとしてどのように世の中に受け入れられるのか、大変興味があります。企業と共に新しいことにチャレンジしていることに大変喜びを感じます。

2007年 2月
プロジェクト参加
2009年 4月
A.i.R. Project – 青の軌跡 発売

作品寸法:
H 85 x W 260 x D 260 (mm)
素材:布(オーガンジー) プロペラ LED 基板 その他

(c) 2009 BANDAI・SUZUKI TARO・DENTSU INC.